MRI Research Associates
マネジメント事業部 PMO事業チーム
PROJECT STORY15
プロジェクトを、裏方として支える業務にも
特化することで、独自の存在価値が放てる。
国や研究機関、あるいは民間企業などにおいて実施される多種多様な研究開発プロジェクト。
確かな成果へ結びつけるには、各事業者が自らの専門分野の知識や実績を有するだけでなく、
計画や予算に沿ってプロジェクトを管理・推進し、関係者間の調整等を行う能力も必要だ。
しかし、事業者内にその知識や経験をもった人材が、必ずしも在籍しているとは限らない。
戸部 龍一郎

マネジメント事業部
PMO事業チーム
チームリーダー
2017年入社
経営管理研究科 卒

前職の建設業界で得た、多様なステークホルダーが関わる中で事業全体を進めていく経験や、進捗を見て仕事を進めていくスキルを、今の仕事にも活用。MRAの「社会人大学院通学支援制度」を活用し、MBA取得。趣味はゴルフ・愛犬との散歩。

Ryuichiro Tobe
品川 健

マネジメント事業部
PMO事業チーム
2001年入社
社会情報学研究科 卒

もともとはMRAの前身となるシステム開発会社にWeb系の技術者として入社。その後、総合シンクタンクに姿を変えたMRAで調査系の仕事へ。生粋の上州グンマー男子。妻一人、娘二人、猫一匹と生活。娘たちが大きくなって遊んでくれず、最近の楽しみはDIYと独り酒場探訪、ロック・メタルのライヴ参戦。

Ken Shinagawa
藤田 梨紗

マネジメント事業部
PMO事業チーム
2021年入社
融合理工学府 卒

大学では人間工学を専攻し、脳波や筋電図など生理指標の測定・解析からヒトの特性に着目したデザインに関して研究。その経験を「研究者のサポート」という別の形で活かせる仕事があると知り、MRAへ。最近お気に入りのキャラクターは、サンリオの「ぽっきょくてん」。

Risa Fujita

01
業務の概要

進捗の管理や、進行の支援にも、プロの存在が有効

マネジメント事業部の業務は、大きく分けて3つ。1つめは『事務局運営支援』事業で、国や研究機関が実施する研究開発事業の進捗管理や経費執行管理だ。研究開発を実際に行う事業者を採択するところから事業終了後の経費精算支援まで、プロジェクト全体の進行管理を一貫して担っている。
2つめは『研究開発事業マネジメント』事業で、お客様の特定プロジェクトにおける、スコープの共有、進捗管理・課題管理の見える化の推進、報告資料の作成やKPIの明確化、予算管理等を支援している。
3つめは『PMO(Project Management Office)DX』事業で、当社独自システムであるM4S®の活用によりPMO業務の効率化・高品質化を実現している。

『事務局運営支援』業務と『研究開発事業マネジメント』の違いは?

藤田
「未来に向けて、いま重要な研究開発とは何か、そして誰が担うのか。これを国がリードしていくために、様々な官公庁が研究事業者を募集・採択し、研究費を支給して推進しています。まずMRAでは、この研究開発事業を支援する『事務局運営支援』を行っています」

「具体的には、実際に研究を行う事業者の公募に始まり、提案者を審査・採択するための支援、研究経費の支出金額を確定させるための検査(経費執行管理)、実際の研究開発の進捗管理、その経過を報告する会議の開催、そして最終的な成果報告まで関わっています。この間、MRAが事務局となり、官公庁などの発注者と、研究事業者、そして審査や報告会などにご協力いただく第三の組織や有識者らをつなぎ、必要な調整作業や手続きを担っています」
品川
「一方の『研究開発事業マネジメント』は、主に官公庁から委託研究を受ける民間企業や研究機関を対象に、研究開発事業の進捗管理をお手伝いする業務です。研究開発に直接関わる支援だけでなく、お客様の経営層の求める視点での課題解決や業務の効率化・改善などのニーズにもお応えしています。お客様の組織の中に、プロジェクトを客観的に見て課題を解釈し、対策を判断できるような人材が必ずしもいるわけではありません。プロジェクト管理やリスク管理に対応できる人材が不足しているときに、当社へご相談いただいております。業務内容を一言で表せば、プロジェクト管理のメソッドの適用です。プロジェクトの目的や目標の明確化、工程の中で発生する各段階での実施事項の見直し、専門的かつ多角的な視点からのリスクの洗い出し等を行っています」
戸部
「品川も事務局運営支援にも携わっていますが、今は研究開発事業マネジメントの比重が高く、官公庁の事務局運営支援で培った経験と知見を民間企業にも適用しています。工程を管理したり複数の組織をつないだりする役割は、事務局運営支援と本質的に同じ部分があり、支援業務を提供する対象が違うだけです。発注元は官公庁で、この事業を民間企業に委託され、我々はその民間企業とやり取りをするという建付けのプロジェクトもあります」

02
業務の中身、苦労

豊富な経験や実績に基づいた、独自のノウハウや対応力が強み

官公庁をクライアントに、研究開発を受託する事業者のプロジェクトを支援する『事務局運営支援』。そして、主に民間企業や研究機関をクライアントに、その組織内のプロジェクトを支援する『研究開発事業マネジメント』。どちらの業務でも、MRAがプロジェクトに関わる人や組織のつなぎ役となることは分かった。

とはいえ、どちらの業務にもそれぞれの特徴があるはずで、苦労する面も異なるだろう。もう少し具体的に、業務の内容に踏み込みたい。

『事務局運営支援』では、どのような業務をしているのか。

戸部
「『事務局運営支援』の中でも中心的な業務が『進捗管理』です。研究が計画通り進んでいるのか確認するため、事業者から工程表を毎月提出してもらい、遅れていたらその原因などをディスカッションしています。もし計画等に変更が必要になった場合は、その手続きの支援もします。また、これとは別に半年に一回程度、進捗状況を有識者に報告する会議が開かれており、有識者からは進捗状況を踏まえフィードバックを頂いています」

「我々の役割は管理や支援ですので、基本的に研究そのものを行うわけではありません。MRAでは、様々な分野におけるプロジェクトを支援してきた実績や、その経験に基づいた事業管理と経費執行に関するノウハウがあります。この業務を受注できている背景には、そのような強みがあるからではないでしょうか。そして、分野によってはその専門的な知見を持った他部門に在席する社員と必要に応じて連携し、事業者に研究内容に関するアドバイスができる体制も構築可能です」

「また、プロジェクトには多くの事業実施者が関わりますので、様々なやり取りを一元化できるシステムを導入している点もMRAの強みです。既存のクラウド型業務システムをベースに当社が独自に開発したM4S®(エムフォーエス、MRA Secretariat Support System Series)により、大きく『情報の共有』と『お金の管理』の機能を持っています。様々な情報や会議書類を登録・格納でき、見たいときに見たい情報へアクセスできます。さらに経理処理に係る証憑を格納することで、遠隔で経費の執行状況を管理できます」

『研究開発事業マネジメント』では、どのような業務をしているのか。

藤田
「『研究開発事業マネジメント』では、お客様のプロジェクトの中身に、さらに踏み込んだサポートやアドバイスが求められます。例えば、企業として業務の効率化を併せて行う必要があるプロジェクトであれば、『どう取り組みを進めていくか』を支援するだけでなく、効率化のために『何に取り組むべきか』といった"改善の中身"にまで踏み込んで支援します」

「そこで、まずはお客様のプロジェクトの進捗を"見える化"することから始めます。また、プロジェクトの推進に必要な打ち手が明確になる"管理の実効性"を向上させるお手伝いをします。すると、先手を打ちながらプロジェクトを進行できるようになり、これによってお客様も含めたメンバーの姿勢が変わる。そして、期限間際になって作業を急かすようなプロジェクト管理ではなく、メンバーが手を携えて楽しく進行できるプロジェクト管理へと転換される。我々は、その一翼を担っています」
品川
「MRAには、様々な企業を常駐型・現場参画型で内部から支援してきた豊富な業務経験があります。そこで培った、プロジェクト管理に関する諸問題を解決するための経験と、プロジェクトに付随する様々な課題に対する豊富な運用ノウハウが我々の強みです。そして、分野専門的な知見や調査体制が求められる場合には、社内の調査研究部門(社会システム事業部、ヘルスケア&ウェルネス事業部、サステナビリティ事業部、技術・安全事業部)と連携できる点もMRAならではでしょう」

「プロジェクトによってはお客様の組織に合ったPMOのやり方をMRAが構築し、お客様が自律的にプロジェクトを推進できるようになるものもあります。そのため、プロジェクト管理・コミュニケーションツールとその利用ガイドや管理フォーマットといったお役に立てるものをできるだけ残そうと考えながら業務に取り組んでいます」

官公庁と民間、それぞれに特徴や苦労がありそうだが。

藤田
「『事務局運営支援』では、報告会をひとつ開催するにも、段階を踏んで多岐にわたるタスクをこなさなければなりません。プロジェクトには多数のステークホルダーが関わっており、会議の参加者は数十名規模になりますので、出席者の事前調整や、資料の作成、当日の運営などを一通り支援する必要があります。機密情報を扱う責任もあり、かなりのプレッシャーです。常に確認を怠らず確実に一つずつ進めていくのはもちろん、やはりプロジェクトメンバーとの連携を大切にしています」
戸部
「プロジェクト管理を円滑に進めていくには、やはりお客様をはじめとするステークホルダーとの信頼関係が重要だと思っています。もし、研究で何か失敗や遅れが発生したときには、それをすみやかに報告してもらった方がいいわけです。そのためには、頻繁にコミュニケーションをとっておくことが非常に大切です。相手の状況に積極的に踏み込み、日頃から気軽にサポートするといった行動が信頼関係構築につながると考えています」
品川
「『研究開発事業マネジメント』だと、その企業に根付いた独自の「文化、風習」あるいは「制度、手続き」などがある点が難しいですね。スムーズな支援を行おうとすると、これらをしっかり把握して対応する必要がありますが、目的のためにはこれを変える必要がある場合もあります。変えるのは大変なことですが、まずは地道にお客様の声を傾聴しつつ、こちらの説明をしていくのが有効です。ちょっとした工夫をして、お客様に継続的な成功体験をしてもらうことも効果的です。そして、私自身も変わってみる。例えば、話し方を変え、それにより報告スタイルやコミュニケーション内容が変わるといったことを、私が"実践"することで、お客様の理解が得られるようになると感じます」

03
成果と展望

大きな責任と自負を胸に、社会課題の解決、
そして新たな事業の創出に貢献する

研究あるいは何らかのプロジェクトを成功させるためには、確かにそれを管理し、推進させる役を担う存在も不可欠であることを再認識した。それをプロとしてプロジェクトの内と外から支えてきたMRAだが、現時点において、どのような成果や実績につながっているのだろうか。そして、そこで得た知見は、今後どのような方向で活かされていくのだろうか。

今日までの成果や、今後の目指すものは。

戸部
「『事務局運営支援』業務で支援させていただくプロジェクトには、1、2年の短い期間ではなく、数年から10年、20年以上という長期にわたるものも少なくありません。福島第一原発の廃炉や脱炭素社会の実現に関わるプロジェクトなどは、その代表的な例です。このため、まだ具体的に社会の何に貢献をしたかを述べられる段階にない事業も含まれます。しかし、我々が研究事業者に対して提供するサポートや助言、時には指導的な役割があってこそ、難しい社会課題の解決につながり研究開発も進展します。そのことに大きな責任と自負を感じています」
品川
「プロジェクトの遂行を検討する段階では、プロジェクト管理や運用の効率化は、とかく二の次と認識されてしまいがちです。しかし、我々にプロジェクト管理をアウトソースいただくことで、我々は逆にそこだけに特化し、その手法や効率性について突き詰めることができます。プロジェクトリーダーとして業務の効率化を求めることとプロジェクトメンバーに業務の中での厳格なチェックを求めることとは矛盾することが多く、プロジェクトを進行する立場としてはどちらかを優先しなければならいことが多々あると思いますが、我々は第三者的な立場で対応できるため、我々が入ることで効率化と高水準化を両立しやすくなります。プロジェクトとしての効率化を図りつつ、チェックの品質を緩めずに対応するノウハウはクライアントからの確かな評価に結びついており、他の業務にも活かしていけます」

「今後は部内のチームワークとバックアップ体制をさらにレベルアップさせることで、多領域の様々な研究開発を支援した実績を増やし、共通して適用できる支援ノウハウを蓄積していければと考えています。そして、違った困りごとを抱えたお客様や、新しい事業領域にチャレンジする事業者にも支援が出来るようになっていきたいと思います」
藤田
「現在の仕事は、私が大学で学んでいた分野とは直接関わらない領域です。しかし、それによって自分が知らない分野にも意識や知見が広がっています。様々な分野の専門家や事業者、あるいは別の立場でプロジェクトに関わる方々を、私も専門性をもって、さらに強く円滑につなげられるようになっていきたいと思っています。学生の方々には、研究という仕事だけでなく、研究事業の管理やPMOという形で社会課題の解決に貢献している仕事があることも知り、興味を持っていただけたら嬉しいです」

Formation