
数理システム事業部
Outline
概要
数値解析技術を基盤として、工学分野に留まらず、地震・津波・気象、電磁波等の自然現象や、人流・物流や経済的な動向等の社会現象を解明し、課題解決に取り組んでいます。課題解決に際しては、解析だけでなく、数理モデル構築から、現象の予測や推定等のシミュレーション、AIを活用したデータ分析まで取り扱います。
従来からの計算工学的アプローチに加え、知識工学的アプローチ(機械学習等のデータ駆動型)も手がけ、業務受託に留まらない新サービスの提供といったビジネスモデルを志向しています。様々な数値解析を駆使して独自に事業を展開しつつ、他部門とも連携して様々な事業を支援しています。
当事業部は、主な対象分野に応じ、社会科学系分野の『広域社会解析チーム』 と、自然科学系分野の『都市基盤解析チーム』で構成されています。
Team
チーム(事例)紹介
広域社会解析チーム
現代社会は価値観の多様化が進み、人を取り巻く環境も目まぐるしく変化しています。そんな社会の変化に対する人の意思決定やそれに基づく行動のシミュレーション、設備等の構造を加味したネットワーク分析といった技術を駆使して、インフラの上に成り立つ社会を広く評価しています。
<マルチエージェントシミュレーション>
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行は経済的な影響をもたらすだけでなく、人々の行動を変容させるような、大きな社会環境の変化でした。当事業部では流行当初に、マルチエージェントシミュレーションと呼ばれる仮想空間上での人々の意思決定やそれに基づく行動を表現・予測する手法を用いて、感染拡大防止に関する政策の効果を評価しました。当事業部では、技術を感染症だけでなく、防災という観点で災害時の避難行動を評価するなど、様々な分野に応用しています。
政策や事業の効果を具体的な人々の行動に基づいてよりミクロにシミュレーションすることで、政策・事業立案のエビデンスとして役立てていただく他、シミュレーションに基づく新しいオプションの提案等を行っております。

<エネルギー需給最適化>
再生可能エネルギーやEVが普及し、社会における発電・蓄電の状況は大きな転機を迎えています。各家庭や企業が個別に発電機を所有する事業者になりつつある今、将来のエネルギー需給を予測し、適切なインフラ整備(配送電設備の強化)を行う必要があります。当事業部では三菱総合研究所と共に、エネルギー需給をシミュレーションするためのモデル構築に取り組んでいます。省エネルギー化の観点からも、社会における最適なエネルギー運用の在り方を、具体的な数値を基に提案することを目指すとともに、応用統計に基づく新規推計手法の提案を行っております。

都市基盤解析チーム
構造・流体解析などの長きにわたる経験から蓄積した「数値解析技術」を活用し、自然科学全般から社会課題まで、その適用範囲を拡大しています。微視的・演繹的・計算工学的なアプローチにとどまらず、方程式モデルと機械学習モデルのハイブリッドによる精緻化やスパコンを活用したHPC(High Performance Computing)による大規模数値計算、都市デジタルツインを活用したリアルタイムシミュレーションといった新しいアプローチも志向しています。
<都市デジタルツインシミュレーション>
自然科学計算の知見やスーパーコンピューター、3D都市モデル等の先端的な技術を組み合わせた都市デジタルツインによる課題解決を目指しています。防災分野では、防災計画の立案や意識啓発を目的とし、スーパーコンピューターによる大規模台風被害シミュレーション、3D都市モデルを活用した浸水シミュレーションおよびリスク情報の可視化、データ同化技術を取り入れた災害予測、人流予測シミュレーション等に取り組んでいます。

<BIM/CIM・3Dデータ活用>
少子高齢化の進展によって我が国の都市基盤を担う土木・建築分野での人手不足・技術継承の課題が顕在化しています。当事業部では、異種システム・データ間の連携やFEMによる高度なシミュレーションの活用により、土木・建築設計業務の効率化・高度化のためのソリューション開発に取り組んでいます。また、高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化に対しては、橋梁等の大型構造物に対する点検を効果的に実施するため、構造解析と数理最適化手法を組み合わせたソリューションの開発にも取り組んでいます。
