広域社会解析チーム
新たな時代の技術でシミュレーション
発電機を個別に所有し、事業者となる一般家庭や企業が、さらに増加すると予測されている。
これによって生み出される電力を、最適なタイミングで、適切な場所へ供給することは
真の省エネルギー化や、安定供給の継続といった観点から、大変重要である。
数理システム事業部
広域社会解析チーム
チームリーダー
2020年入社
理工学研究科・総合デザイン工学専攻 修了(博士)
東京都出身。エネルギー材料の物理に関する研究で博士号を取得。幼少の頃より音楽を嗜み、学生時代はオーケストラや室内楽でクラリネットやサックスを演奏。現在はクラシックや近現代音楽の演奏および、データサイエンスの知見を基にした作曲補佐を行い、匿名で公開している。
数理システム事業部
広域社会解析チーム
2020年入社
理学研究科 物理学専攻 修了
富山県出身。大学・大学院時代は大阪で過ごす。専攻は物性物理学理論分野で、アンダーソン転移・臨界現象に関わる研究をしていた。数理的素養を活かした課題解決に興味がありMRAに入社。趣味は、観戦も含めてサッカーであり、贔屓にしているチームはG大阪。
01
プロジェクトの意義
最適なエネルギー運用のため、
電力の需要予測に、もっと価値を
近年、CO2排出量の削減が世界的に叫ばれる中、その重要な役割を担うのが、太陽光や風力等の再生可能エネルギーだ。燃料を輸入に頼るようなことがなく国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与する。一方で、電力エネルギーは需要に合わせて発電量を調整し、無駄のない安定した供給が求められる。それには、将来のエネルギー需給状況を予測すること、そして適切なインフラ整備(配送電設備の強化)を行う必要がある。
このため、MRAでは三菱総合研究所(以下、略称MRI)と共にエネルギー需給シミュレーションを行い、社会における最適なエネルギー運用の在り方を、具体的な数値を基に提案することを目指している。
シミュレーションの結果が、なぜ求められるのか。
「また、再生可能エネルギーを有する個々人が電気を直接小売りすることは現実的ではありません。そこで、複数の事業者を取りまとめて市場に供給する、リソースアグリゲーターの存在が求められるようになります。彼らの立場から考えると、できる限り電力の売価が高い、つまり電力の需要が一番大きい時に売りたいはずです。一方で、電力はインフラですので安定的な供給が前提にあり、供給不足に対してはペナルティが課されることになります。そのリスクを回避するためには、信頼できる需要予測の技術が必要です」
どのようなお客様から求められているのか。
02
具体的な取り組み
AIが鍵を握る、
需要予測の精度やスピードのアップ
より付加価値の高い提案には、現在よりも高度な予測技術が不可欠だ。数値シミュレーションの豊富な実績を持つMRAだが、どのようにしてプロジェクトを技術面からサポートしているのだろうか。
では具体的に、どのような取り組みが進んでいるのか。
苦労した点もあったのでは。
一般の人が扱える必要があるのか。
03
成果と展望
実用化に向け、着実に計算精度を向上
さらなる社会分野への活用も見据える
高い予測精度だけでなく、誰にでも分かりやすい情報発信まで見据えたシステムなら、社会へ現実的な影響を与えることが大いに期待できる。今はまだ、その道半ばといったところだが、具体的に目に見えた変化も見えつつある。それは、現時点での成果として評価されてよいものだろう。
これまでに、どのような成果を得て、さらに何を目指しているのか。
「そして、今後はシステムです。設備会社が持つデータをAIが自動で受け取って学び、賢くなっていくことによって、売電ニーズが来た時に需要データをスムーズに提供できるような、実用に耐えうるシステムを完成させることを目指しています。社会におけるエネルギー運用の在るべき姿に向けて、そこがまた一つのスタート地点になると思っています」
「いま、事業部内では電力以外のインフラ全般や、また介護分野におけるデータサイエンスを行っており、AIの導入やデジタル化を推し進めているところです。そして今後は上記分野に限らず、MRAが手掛ける他の事業分野でもAI技術の導入に取り組んでいきたいと考えています」
今後の展望は。
「今後、老田をはじめ、若手が今回の知見を活かし、様々な分野において次世代の専門家になることを期待しています。現在の電力事業を起点に、データを扱える人間が専門知識を持って社会実装を行う、という流れが作っていけるのではないかと思っています」
「また、今回の電力需要の話は、あくまでスタートでしかないと思っています。もっと広い視点で国のインフラ全般の今後を見据え、世の中に最適なインフラの在り方を、データ解析技術に基づいた知見から示していきたいと考えています」